2023/08/18
「資源循環・カーボンニュートラルの《ヌテコン》を《オワコン》のベース配合とする」
日夜繰り返される試験練りでは現在、「資源循環」「カーボンニュートラル」を搭載したアスファルトフィニッシャでも施工できる温度35℃以下のコンクリート(「ヌテコン」をベース配合とした「オワコン」)の技術開発に取り組んでいる。
「オワコン」は「ヌテコン」を標準へ
ヌテコンとは?
ヌテコンとは「突き抜けた捨てコン(「ス」の棒が突き抜けて「ヌ」となった)」という由来から名付けられた非構造体など規格の要求が及ばない領域の為のコンクリート。「セメントを用いず、すべて再生材・副産物のみで製造されたコンクリート」を特徴とする。
曲げ4.5Nを出す「ヌテコン」TB
粉体量のせいか、全く流動性を帯びることのないバッサバサな生コンができたので、失敗。「これは、高性能AE減水剤を用いるしかない!」ということと、s/aを43%まで減じた配合を設定しもういっちょ試験練り。
s/aを42%混和剤を高性能AE減水剤に
配合を修正するも、粘性はまだまだ強く、フィニシャビリティは最悪。「これ、このまま持ってったら客失うね」に一同首肯。
さらなる配合改善「ヌテコンをオワコンにするためには」
参考にしたのは以前ジオポリマー(結合材をSCMsのみにしたコンクリート)を「オワコン」にした現場の配合。この時も、通常の「オワコン」よりも粘性が強かったため、粉体量あるいはs/aの調整が必要だということがわかる。
関連記事:「炭素を含む資源循環のエコシステムとしてコンクリートインフラを再定義したホワイトカーボン」
当時の要求性能(強度)から考えると粉体量に大きい違いが見られる。そのため、「単位水量を下げて(単位粉体量を下げる)、さらにs/aもダイナミックに減らす(30%台とか)」などの検討が行われた。現行のヌテコンだとあまりにも粘性が大きく粒状化(オワコンにするためのプロセス)に不安が残るためだ。
とりあえず、強度はカッチカチで出てそう
翌朝脱型されたテストピース。前日夕方に製造された「セメントを用いていないコンクリート」ヌテコンのそれであることを忘れてはならない。強度は問題ないとするならば、あとはワーカビリティやフィニシャビリティ、コンシステンシーについての検討のみとなる(耐久性は今後の課題となる)。
「ヌテコン」に「残コナ」は次の試験練りで
本来は、「残コナ」アルカリ刺激材としての性能、またはコンシステンシーへの影響をはかるための試験練りだったのだが、ベース配合が確立しなかったため、次回以降に後回しとなった。なお、次回は21日月曜日白石建設で行われる予定。
「コンクリートをもっと身近に」
久しぶりに朝1番の都内の満員電車に揺られてちょっと謙虚さを取り戻しつつあります。いやはや、大変だね、都内で仕事するって。田舎暮らしが長いと噛み締めますわ。
オワッコーン‼︎
資源循環、カーボンニュートラルなどなど、全てが搭載されているコンクリートが「ヌテコン」であり、「オワコン」になるってことなんですね。コンシステンシーの改善あとは、供給体制の構築が鍵になります。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。