2023/08/19
「巨匠【西沢立衛】がコンクリートという素材に寄せる想いとホワイトカーボンにかける期待」
鹿島の坂田昇に続いて、生コンポータル主宰・宮本さん肝煎りのRRCS対談シリーズ第2弾は巨匠・西沢立衛をお迎えし、コンクリートの巨人野口貴文が提唱する「ホワイトカーボン」について意見交換が交わされた。
建築家・西沢立衛と素材としてのコンクリート
なお、9月27日にはこちらの対談の様子が放映を予定しています。
西沢立衛事務所訪問
プリツカー賞を受賞したことで知られる西沢立衛・SANAAを訪問。エントランスからすぐに階段があり登ると現在三島駅北口前に新築中の西沢立衛事務所が手がける加和太建設新社屋新築工事の模型が出迎えてくれた。
きっかけは加和太が示した資源循環・ホワイトカーボンへの興味
左から3人目が西沢立衛さん。伊豆の国市に実装されたカーボンプールコンクリートの視察に訪れた。加和太建設河田亮一社長に「ホワイトカーボン」や「カーボンプールコンクリート」のコンセプトに関心を寄せていただき実現したもの。
関連記事:「炭素を含む資源循環のエコシステムとしてコンクリートインフラを再定義したホワイトカーボン」
ホワイトカーボン野口貴文との対談が実現
左・西沢立衛さん、右・野口貴文先生(RRCS代表理事)。西沢立衛建築の大切にしていることと、素材・コンクリートに寄せる思いについてがテーマとなった。以下、立ち会った宮本さんの雑記メモ。
「材料には作り手に要求するメッセージがある」
西沢さんが大切にしている考え方は、文化と文明の調和。文化は土着のもので、文明は空気のように自在に地球上を移動するもの。その土地古来の素材には作り手に要求する「作り方」のようなものがあって、そのメッセージに耳を傾け尊重することで、環境に調和した建築がつくられるという。
豊島美術館とコンクリートに寄せた思い
写真引用:豊島美術館
「物事の主従関係を明確にしたくない」。例えば、自然風景の中に突然幾何学のかたちが現れたとしたならば。山河の形を考えず、そこに直線が生まれたら。それは、建築が主人となって、自然環境が従者となる明確な関係性が生まれてしまう。一方、建築の側が数字に置き換えづらい自由曲線という形式を採用することで明確な主従の関係性は失われ、それはとりも直さず「調和」を生み出す。複合的で手続きがやたらと多い鉄骨と違って、不定形な素材コンクリートはまさにそんな西沢建築にと必要不可欠な存在という。コンクリート構造になる前の生コンはどのような形にも従うことのできる特徴を有している。
「建築の形をゴールにしたくない」
「よくお施主さんにこう話をすると怪訝な表情をされる(照)」と話す西沢立衛の建築に対する考え方。「形というのは運動の結果でしかなく、それ自体を目的にすると全てがダメになる。」「【運動】には【どのように作るか】が含まれていて、その作るというダイナミズムをとどめた形を常に大切にしたい。」人工的に造形を生み出した継ぎ目のある合板などではなく、掘削した土壌にそのままコンクリートを打設するなどの技法はまさに西沢建築の真骨頂だ。
ホワイトカーボンについて
建設現場やコンクリート工場で発生する「残コン」を媒体として炭素(CO2)がインフラの中で循環する「ホワイトカーボン」というコンセプトについて、「実に面白いですね。」と評価する西沢立衛。野口貴文先生が説明する、「ブルーカーボンの10分の1、グリーンカーボンの5分の1」とされるCO2の循環はまさに、素材がその土地土着の文化と自由に入り乱れる文化とが調和するストーリー性が背景にある。「興味のあるものはなんだって取り組みたい」その場でRRCSの取り組みへの理解を示され加盟も前向きに検討いただけることとなった。「ヨーロッパでは完全にコンクリートは悪者。」と危機感を示され、新しいコンセプトでコンクリートと向き合うきっかけになったことで「大変勉強になりました」と謙虚に締めくくる巨匠・西沢立衛と野口貴文の対談は9月27日RRCSのYouTubeで公開を予定している。
坂田昇に続いて西沢立衛との対談が実現
RRCSの対談シリーズでもぶっちぎりの視聴回数(4000回以上)を回しているのが生コンポータルの主宰・宮本さんがマッチアップした鹿島・坂田昇との対談。今回も宮本さんの肝煎りで実現した西沢立衛との対談も見逃せない回だ。
「コンクリートをもっと身近に」
というわけでですね、巨匠にも「ホワイトカーボン」を認知していただいたこともあり、どんどん僕たちのモットーが具現化してきているよね。まだ、足りないけどね。水の次に流通する「調和」を生み出しやすい「コンクリート」という素材をですね、もっともっと世間に認知してもらうように、これからも「伝える」情報発信に努めましょう!
オワッコーン‼︎
はわわわ。。巨匠がホワイトカーボンの伝道師として世界中で大活躍されることになるなんて夢のようですー。。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。