2024/07/05
オワコン(造粒ポーラスコンクリート)とオコシコン(ポーラスコンクリート)は類似製品ではありません
2021年8月21日に開発され今に至るまで販売に並行して研究も進んでいる造粒ポーラスコンクリート「オワコン」は先行していたポーラスコンクリート(パーミアコン、ドライウェイ、ドライテック、オコシコン)のパクリ・猿真似の類ではありません。
オワコンとオコシコン(旧ドライテック)の違い
「オワコン」は現在一部車路や車道での適用が進んではいるものの開発当初から現在に至るまで主な用途はやっぱり防草・排水となっており、さらには紙粘土など自由整形が可能という特徴を利用したさまざまな用途開発が進んでいますー。。
ポーラスコンクリートとは
ここでは「オコシコン」に代表されるポーラスコンクリートについての詳細な説明を行う。なお、2021年8月21日に誕生し急激に普及を伸ばす同じく当社らのブランド「オワコン」は造粒ポーラスコンクリートに位置付けられ開発当初から用途は厳格に区分されていた。
ポーラスコンクリートの配合
当社らでは「ドライウェイ」に始まり「ドライテック」「オコシコン」として事業を行っていたポーラスコンクリートの配合の特徴は「砂がない」ことに加えポーラスコンに求められる付着強度を補うために開発されたキーバインダー「F材」や「おこし材」を利用することを特徴としている。
我が国では40年超の歴史を数える製品
ポーラスコンクリート我が国の草分けは佐藤渡辺社が開発し販売するパーミアコンはなんと40年超の歴史を誇っている。なお、当社らで手がけてきた旧製品「ドライウェイ」「ドライテック」そして現在の「オコシコン」に至るまで全てはパーミアコンの背中を追いかけて生まれた後続品(パクり)という位置付け。
主な用途は舗装
なお、ポーラスコンクリートの主な販売先として当社らでは駐車場など通常土間コンクリートが施工されるような場所を想定している。
造粒ポーラスコンクリートとは
「オワコン」など造粒ポーラスコンクリートは2021年8月20日広島県福山市の陽光物産を訪問している際にひょんなことから開発された。従来のポーラスコンクリートとは全く異なる透水・保水・揚水コンクリート。
関連記事:《雑草革命》「防草ポーラスコンクリート《オワコン》開発プロジェクトローンチ」陽光物産
元々は残コンリサイクル材料だった
「オワコン」に用いられるキー材料「Y弾」「オワコンの素」はもともと現場で余剰となり生コン工場に持ち戻された残コン・戻りコンのリサイクルを目的としてMAPEI社と当社らで開発されたもの。製品名はRe-con zero EVOと名付けられ2014年頃から生コン工場向けに販売されてきたもの。なお、同製品の利用により残コンは写真にあるような砕石状に加工され舗装下地や埋め戻し材料として再利用されていた。
Re-con ZERO Evoの用途開発「オワコン」
そんなre-con zero Evoの新規用途開発として生まれた「オワコン」はそもそもコンクリート製品としての性能評価などを一切してこなかったこともあり当初は駐車場や車道など車両が乗り入れするような舗装としての想定はしておらず、防草や保水・透水または土砂流出対策など当時取り扱いのあった「ドライテック」とは市場を分けて流通させることを社内外に告知していた。
配合がポーラスコンクリートと全然違う
なお、「オワコン」の配合は日本全国3,000工場と言われる生コン工場で通常に製造をしている生コンクリート(JIS A 5308)に「Y弾」と名付けられたRe-con ZERO Evoを投入撹拌することで製造される。砂が配合されておらず付着強度を向上させる成分(F材やおこし材など)を用いていないことからもポーラスコンクリートとは全く異なる製品であることがわかる。なお、Y弾の成分は高分子ポリマー(凝集剤)であり水分を奪い造粒を生じさせるためのものであり、F材やおこし材とは全く異なる作用を期待している。
まだまだ研究途上
なお、造粒ポーラスコンクリートという技術体系の研究はまだ始まったばかりであり、横浜国大らによって開発されたgranZ concreteも造粒ポーラスコンクリートの1つに位置付けられている。このように後続品も登場する造粒ポーラスコンクリートは「オワコン」同様に防草や排水といった用途を主眼に置いている。
(参考)都市イノベーション学府 学生プジェクト"granZ concrete"が完成
(参考)造粒ポーラスコンクリートの 圧縮強度・空隙率・施工方法に関する研究
(参考)混和剤もしくはスラッジ微粉末を用いて製造した 造粒ポーラスコンクリートの圧縮強度および透水性の比較
いまだに主な用途は防草・排水
なお、ここ1年は民間のみならず公共事業(写真は熊本県玉名市)における残地や里道の維持管理(防草、排水、土砂流出防止、路面温度の顕熱・潜熱のコントロールによる環境温度の低減etc...)にも用いられるなど、徐々に駐車場での適用(とにかく安価を希望するお施主さんなど)があるとしても未だにその主な用途は防草・排水であり、駐車場や歩車道などにおける舗装としての適用は主流ではない。「ドライテック」を取り扱っていた当時はポーラスコンクリートとの相乗効果(同様の流通網→当時から付き合いのあった生コン工場や施工業者らのネットワーク)をそのまま利用でき、かつ新たな市場開拓が望めるなどの主張を行っていたが「ドライテック」共同開発者であるフッコーから「信頼関係の毀損」として同社らが独占的に製造・販売を行うF材の供給を一方的に差し止められ、ポーラスコンクリート事業そのものの存続が危ぶまれた。当社らとしては独自でキーバインダー「おこし材」の開発を行い、付帯する多額の負担や顧客の喪失など余儀なくされた経緯がある。
更なる用途開発
エクステリア資材ガビオン(写真)や亀の飼育用池の造成など、現場で紙粘土のように整形可能な造粒ポーラスコンクリートの想定される市場は舗装のみならず日夜広がりを見せている。
コンクリートメーカーが新しいコンクリートを開発するのは当然
生コンポータル(株式会社 長岡生コンクリート)ではコンクリート実務家のアシスタント集団JOISに参画し日夜新たなコンクリートの可能性を探求しています。造粒ポーラスコンクリートの開発によってそれまで舗装としての用途のみポーラスコンクリートが広げることのできなかった市場を造粒ポーラスコンクリートの誕生によりさらにバリエーションの豊富な市場開拓が可能となっている。
「コンクリートをもっと身近に」
いや、それにしても、思い出したくないけど、当社ら旧製品となった「ドライテック」のキーバインダーF材を止められた時は会社潰れるかと思ったよね。だって、10年近くせっせと手塩にかけて育ててきた製品だもの。その後多額の負担をしつつ「オコシコン」を開発してなんとかなんを凌いだものの、あんなことはもう2度と金輪際です汗。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。