2024/09/11
スラッジケーキや残コン粒状化再生骨材から得られる微粒分【残コナ】の製造方法
本日(2024/09/11)いよいよ開催予定のJOISキックオフイベントでの「残コナ」プレゼンに先立ち準備としてブログを作成しました。
残コン微粒分「残コナ」の製造方法詳説
「残コナ」の各種用途
こちら、生コン工場で発生する副産物残コンを由来とした微粒分には各種用途が期待される。
CCU(Carbon Capture Utilization)
残コンには水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が飽和した状態で存在するため、DAC(Direct Air Capture)など人為的に二酸化炭素(CO2)と反応させることで軽質炭酸カルシウム(CaCO3)を生成することができる。すなわち、CCU材料として生コンクリートに配合することでカーボンニュートラルやカーボンネガティブを期待することができる。
混和材として利用
生コン工場で用いられる膨張材など特殊混和材と同様に「残コナ」を配合することで、粘性付与(材料分離抵抗性向上)などの性能が期待される。カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの要請が高まるに従ってこうした実装が増えていくだろう。
粒状化材料
こちらは「残コナ」を残コンに投入して撹拌した後の様子。 粒状化は実はセルドロンやre-con zero evoなどの薬剤でなくとも、こうして残コン由来の微粉末でも可能ということはまだあまり知られていません。
関連記事:生コンスラッジの微粒分は市販の改質材(セルドロンやコンバラス他)の代替品になります
残コン粒状化再生骨材(原石)
こちらは、残コンステーションで粒状化された残コンのストックヤード。こうした原石から微粉末を取り出し残コナが得られる。写真は生コンポータル(株式会社 長岡生コンクリート)での取り組み。
生コンスラッジ
なお、こちら生コン工場の厄介者生コンスラッジからも「残コナ」は得られることがわかっている。下処理としてなるべく水和反応を満了させ乾いた状態の生コンスラッジを得ることが条件となる。
簡単な設備で製造可能
生コンポータル(株式会社 長岡生コンクリート)のICC残コンステーション脇に設置されてある「残コナ」製造機(あとだしじゃんけんワークス社製)。各部説明は以下の通り。
受材ホッパー
下処理された生コンスラッジや粒状化再生骨材(s)などを重機(バックホウやホイルローダーなど)で投入するためのホッパー。
ジョークラッシャー
オーバーサイズを破砕するための装置。
ベルトコンベア
写真は粒状化再生細骨材をジョークラッシャーに通して得られたものを移送するための装置。
集塵機
一連の工程で発生する微粉末がいわゆる「残コナ」となる。なお、現在こうした集塵設備に排ガスなどから発生する低濃度CO2を充填させDACを促すなどの検討が行われている。効率よくCO2を固定させることで200kg-CO2/t のCCU・混和材料の製造を生コン工場で生産することができる。なお、プロセスを通じて得られる骨材は微粒分(としての「残コナ」)を適度に除去された高品質な骨材とすることができる。
「残コナ」作って「土間コン」で地域で回そう!
なお、宮本さんの本拠地静岡県東部地区では発注機関(三島市、伊豆の国市、河川国道事務所etc)や地場大手ゼネコン(加和太建設、土屋建設etc)、生コン組合(静岡県東部生コンクリート販売協同組合)らとの連携を通して、こうしたCCU材料を用いた生コンの非構造部材つまり「土間コン」などの簡易舗装への実装が本格化している。
「コンクリートをもっと身近に」
さあ、いよいよ、いよいよコンクリート実務家らが待ちに待ったJOISのローンチだねっ。14:30〜大阪科学技術大学で皆さんをお待ちしていますっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。