長岡生コンクリート
創発により紡ぎ出される
コンクリートソリューション

2023/04/20

「RG骨材に内在あるいは上澄水から供給される水酸化カルシウムと大気中のCO2が接触し骨材細孔に炭酸カルシウムを析出させる」

「RG骨材に内在あるいは上澄水から供給される水酸化カルシウムと大気中のCO2が接触し骨材細孔に炭酸カルシウムを析出させる」

石灰砕石やブループラネットなど炭酸カルシウムは骨材としても有効であることがわかっている。元々生コンから生成されるRG骨材(Returned-concrete Granulated 骨材)の主要成分は水酸化カルシウム。上澄水にも豊富に水酸化カルシウムが含まれている。養生方法でRG骨材は炭酸カルシウム骨材に変化する。



上澄水によるウェッティング(散水)

6F6FD162-45D3-4ED8-AF2B-354478CEC621.jpeg

生コン工場に設置されている上澄水(スラッジ固形分は沈澱して除かれている)プール。上澄水には飽和水酸化カルシウム溶液(Ca(OH)2)。


【プレウェッティング】
軽量骨材などを使用する際に、骨材をあらかじめ散水又は浸水させて
吸水させる操作。
https://ameblo.jp/jic1225/entry-11052466871.html


 残コン女の子

今日は昨日RG骨材/ジオポリ(AAMs)/オワコン/上澄水の掛け合わせの可能性(「残コン(RG骨材)を用いて製造されたジオポリをオワコン(造粒ポーラスコンクリート)にしてから上澄水で打ち水・養生する」についてサンコンさんやパイセンと打ち合わせしていた時に宮本さんに降ってきたアイディアについてご紹介します。
上澄水はご存じ豊富な水酸化カルシウムを含んでいるため、プレウェッティングを繰り返せば大気中のCO2を固定することで炭酸カルシウムを上澄水が浸透した空隙の中で析出・充填することができるので、骨材の機械的性質を向上させることができるのではないか、という仮説です。
ちなみに、付属的に二酸化炭素の固定(カーボンネガティブ)という性能も得られるかもしれません。

中性化で細孔空隙が充填


中性化によりコンクリートの微細構造が変化し、その微細構造の変化がコンクリートの特性に影響を与えます。モルタルの微細構造の変化を調査するために、水セメント比と初期養生条件を考慮して、加速炭酸化試験と乾湿試験を実施しました。炭酸化の深さ、水酸化カルシウムと炭酸カルシウムの量、細孔容積と細孔サイズ分布、およびモルタルの重量を測定しました。 炭酸化による細孔容積と細孔サイズ分布の変化は、水セメント比と初期養生期間に依存します。炭酸部分の細孔容積が減少 連続炭酸化試験の場合。炭酸化によって引き起こされる構造の緻密さは、その後の炭酸化プロセスを制御します。 キーワード: 炭酸化, 細孔容積, 細孔径分布, 水酸化カルシウム, カルシウムカーボネートhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jscej1984/1990/420/1990_420_33/_pdf


炭酸イオン(CO32 )とカルシウムイオン(Ca2+)が反応し、
炭酸カルシウム(CaCO3 )が生成されます。
炭酸カルシウムは溶解度が低いため、細孔溶液に溶けずに沈積します

 

https://imakike.jp/concrete_neutralization/


宮本のアイディアの根拠になってんのがこれだな。中性化は鉄筋コンクリートである場合には不動態皮膜を破壊するなど劣化原因とはなるものの、無筋コンクリートである場合は炭酸カルシウムが空隙を埋めるだけで強度や耐久性そのものにあまり影響がねえことがわかってるよな。

 残コン姐さん

RG骨材はコンクリート

D0B19705-996A-4809-BA6F-E2A4B62E3643.jpeg

残コンstで処理され製造されたRG原石は分級されてRG細骨材(写真)となる。

 残コン女の子

そもそもRG骨材は元々「残コン」つまり「生コン」でした。姿が変わってRG骨材となっても、基本的には「コンクリート」であることに違いはないので、上段で説明されているような現象(水酸化カルシウムが細孔の中でCO2と反応して炭酸カルシウムに変化する)は起きるはずです。

上澄水ウェッティングで炭酸カルシウム骨材

352E78B6-F298-4BB6-92A6-54D40D321A22.jpeg

Blue Planet CaCO3 Aggregate https://www.blueplanetsystems.com/products
ちょっと前に話題になってたブループラネット(URL参照)は二酸化炭素を利用して人工的に炭酸カルシウムの骨材を生成する技術だが、RG骨材に含まれる水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化(CO2 + Ca(OH)2 → CaCO3 + 2H2O)するだけでなく、ウェッティングで供給される水酸化カルシウムが大気中のCO2と反応することでさらに炭酸カルシウムを析出させることができんじゃねえかってことさ。人工的に副産物を炭酸カルシウム骨材(石灰砕石)にするって感じだな。

 残コン姐さん

カーボンネガティブかもしれません

残コンさん、残コン姐さん。いつもPR活動ご苦労様でございます。
これ、昨日思いついたんだけど、なんとなくだけどいけそうだよね。石灰砕石なんかもそうだし、ブループラネットもそうだけど、炭酸カルシウムは基本的に骨材に使えるから、RG骨材に内在するあるいは上澄水から供給される水酸化カルシウムと大気中のCO2が接触することで得られる炭酸カルシウムはきっと骨材の機械的特性になんらかの良い影響を及ぼすはずだよね。やって見なきゃわからないけどね。ちなみに、武田先生にその点も明らかにしていただく研究を依頼する予定だよ。すでにご相談している研究のついでにね。
でね、これについてはほとんど意識してなかったんだけど、「二酸化炭素と反応して」ってことはSDGsおじさん垂涎の的「脱炭素」じゃんて。もっと言えば、カーボンネガティブじゃん、て。そもそも、オワコン・ガビオンに関しては以前白石建設の武南さんからCPコンソーシアムの白岩さん(安藤・間)にご提案されたんだけど、話題にされることもなく「コンクリじゃない」という理由で却下された経緯があるけれどね。。
できたRG骨材の炭酸カルシウム量を計測すれば炭酸固定量も簡単にわかるよね。生コン工場でできたRG骨材に生コン工場にある上澄水をただただ散水するだけ(ソーラー電池で動くタイマー付きポンプなどを利用)だから、物流で発生するCO2もゼロだし案外筋がいいかもしれないね。
というわけで、オワッコーン‼︎

 宮本

 残コン女の子

ぉ、おわ?
「捨てる神あれば、拾う神あり」なんですね。生コン工場の中にあるものだけで炭酸カルシウムが豊富に含まれた骨材が出来上がるのも面白いですが、SDGsのこの時代にカーボンネガティブという性能も意外な副産物として興味深いです。
残コン‼︎ オワッコーン‼︎

 残コン姐さん



作者・宮本充也

残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー

未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。

Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。

After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。

宮本 充也

主な著者
宮本充也

1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士

危険物取扱責任者(乙4)/毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:採石業務管理者/2級FP技能士