2024/01/16
「残コンstとCCU製造をバッチャープラントを流用して実現しちゃおう」(前編)
簡易バッチャープラントさえあれば残コンstもCCU製造も兼ねることができる。前編では生コン工場をCCU採石場として定義したシステムの考察。
CCU採石場=生コン工場 前編
現在の残コンst
現在ICC(生コンポータル運営)に実装されている残コンstのプロセスは概ねマンパワーに依存している。
プロセス概要
・改質ピット:当日の残コンとスリットピットで濾された汚泥(残渣)をブレンドして改質
・スリットピット:汚水(洗浄水や残水)を翌朝まで鋼管スリットを用いて濾過し残渣を得る
・改質材:高含水で流動体の状態で戻ってくる残コンや残渣を強制曝気するためのマテリアル。従来はre-con zero evoやセルドロンなどが採用されていたが、現在では残コン粒状細骨材や「残コナ」などが用いられている。残コン処理(再利用)に残コン以外の不純物(市販の造粒材)は要らないことが判明しました
・重機:材料投入などに用いられるバックホウなどの建設機械
・作業員:一連の作業(朝/夕)におよそ3名の人員が必要
簡易バッチャープラントで自動化
本構想は、簡易なバッチャープラント(上記)を用いて簡素化しようとするもの。全部ではなく一部を残コンst用途に供する。(イラスト引用:https://www.zennama.or.jp/park/kojo/k1_shikumi.html)
BPを用いたプロセス概要
ベルトコンベア/セメントサイロ:改質材(「残コナ」や残コン粒状細骨材「残スナ」)の供給
ミキサ:改質ピットの役割を果たし、重機を用いることなく自動的に改質材と残コン、残渣をブレンドする。改質された残コンはそのまま原石として屋根のあるスペースで乾燥工程に回される
重機:流動性のある高含水状態の残渣を投入する際に必要
作業員:重機オペ(構内作業兼)1名
※通常のBPに備えられているターンシュートや貯蔵ビンや計量器など一切の設備は省略可能。また、通常生コン工場で想定される構内作業と兼務することができるため追加の作業人員は不要
生コン工場と自動残コンstは採石場
残コンを残コンstで加工することで得られた原石は豊富に水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を含んでいるため人為的に二酸化炭素(CO2)と反応させることで炭酸カルシウム(CaCO3)CCU(Carbon Capture Utilization)としての利用が期待されている。こちら、後編では粗・細骨材や微粉末としてのCCUが得られるまでのプロセスのさらに簡易BPを用いた自動化について考察を進める。
後編 CCU製造もBPで!
後編では同じくBPを流用することで「残コナ」(写真)などCCUを製造する構想について。
なお、こうした技術開発は各地の生コン実務者らとの協業で生まれている。
「コンクリートをもっと身近に」
「オワコン」や「オコシコン」のご紹介と違って「生コンキャンプ」では幾分専門的な話題を取り扱うけれど、このようないわば「舞台裏」も風通しよくオープンにしておくことで、コンクリートをもっと身近に感じてもらえると嬉しいですっ。何か疑問があったら宮本さんのLINEが公開されてますので遠慮なくdmちょうだいねっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。