2024/01/17
「残コンstとCCU製造をバッチャープラントを流用して実現しちゃおう」(後編)
生コン工場をCCU原石採取設備として再定義した前編に続いて、同じく各種CCU材料(骨材、微粉末)を得るまでを後編としてご紹介。 条件として十分な非JISコンクリート市場(出口)が見込められた場合、生コン工場は地産地消・資源循環・脱炭素において欠かせない機関として見出されることだろう。
CCU製造機=生コン工場
従来のCCU(微粉末)製造プロセス(砕石製造)
原石投入口から天日乾燥(2〜3日)させた生コンスラッジを投入。
いわゆる、砕石製造の工程に生コンスラッジをかけることで集塵機で得られた粉塵をCCU(含まれる水酸化カルシウムをCO2固定媒体としたもの)として得る。
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プロセス概要
投入ホッパー:スラッジケーキの投入口
ベルトコンベア:投入した原材料を各工程につなげる搬送機械
分級機:オーバーサイズを取り除く工程
整粒機:いわば、心臓部に当たる破砕機械
集塵機:舞い上がる粉塵を捕集するための設備
※砕石工場のプロセスで得られるのは、オーバー材、粗骨材、細骨材、微粉末となる。
微粉末(CCU)を得るならBPでもワンチャン
粉体(セメントやダスト)が発生する生コンプラントでも同様に集塵機が備わっているためCCU製造を生コンプラントの空き時間(休日や夜間など)を利用して行うというアイディア。
乾燥工程
前編で紹介したプロセスでBPで製造された粒状骨材(原石)をトロンメルで分級し粗骨材・細骨材として屋根のある場所で乾燥させる。
関連記事:「残コンstとCCU製造をバッチャープラントを流用して実現しちゃおう」(前編)
細骨材をバッチャープラントで集塵(微粉末捕集)
知られるように、微粒分を取りのぞかれた細骨材の品質は安定し、さらに捕集された微粒分は豊富に水酸化カルシウムを含むCCUとして期待される。あとは、得られたCCU微粒分を従来のセメントやダストと分けて取り出すための別系統の設備が必要。
(引用:https://www.t-kizai.co.jp/rental/4_205.html)
設備概要
トロンメル:原石の分級に用いる
屋根のある敷地:乾燥工程
別系統設備:セメントやダストと区分して機能するCCU引き出し設備
求められる非JISコンクリート市場開拓
安心・安全をもたらすこれまでの規格・基準類とは別に、コンクリート産業における新時代の要請としての地産地消・資源循環・脱炭素の達成には非JISコンクリート市場を適正規模に拓くことが求められる。
前・後編通して追加設備がごくわずかで生コンプラントにて残コンから各種CCUを得る方法を考察した。いわば、生コン工場が地産地消・資源循環の機関として役割を果たす本構想の要諦は出口ともいうべき非JISコンクリートの市場が適正規模に拓くこと。「オワコン」「オコシコン」「イワモル」の例もあるように、既往の規格・基準類に変化を求めるよりも早期に実現するはずだ。
「コンクリートをもっと身近に」
あとは僕たちの十八番「やってみる」だねっ。やってみることで現実に変化が生まれ、その現実に対してさらに考察を加えて、またやってみる。pdca回す的な? みんなもぜひ生コンキャンプへのご参加楽しみにしているよっ。
オワッコーン‼︎
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。