2022/05/02
「製造・施工・消費。多層・縦割りで分断されてきたラストワンマイルの創発」(週刊生コン 2022/05/02)
新しい透水性コンクリート(ポーラスコンクリート)として彗星の如く登場した「オワコン」は先週だけでも静岡、大阪、宮城、山口、愛知、徳島、兵庫といった地域で採用事例を伸ばしている。「土間コンと言ったら水を通す」が当たり前になる兆しとして一般消費者のみならず業界関係者の熱視線が寄せられている。(週刊生コン 2022/05/02)
全国各地で「身近」になってる理由
⚫︎先週の記事1: 【静岡】「新築に浮かれ胸をときめかせて予算を建物に全部注ぎ込み、外構をなおざりにすると一体どうなる?」富士宇部静岡工場・コンクリートサロン
こちらは「学生らで組織するチームが一般の方からがちで請け負った」オワコンの現場。
88,800CPの案件としてオワコンが納品された。
全て、現役の学生(横国大・細田暁研究室)の面々だ。
いわゆる「学生バイト」でも施工できる、というのが実証された事例と言っていい。
学生バイトに委ねられる仕事ってある程度決まってますよね。
そんな学生バイトが本職として顧客にご満足していただき施工を届けた。
このことはいかにオワコン(造粒ポーラスコンクリート)の施工が簡単かを如実に物語っている。
これが、「全国各地で身近になっている」理由。
駐車場に適応されたオワコンのレポート
⚫︎先週の記事2: 【大阪】「全部込み込み9800円/m2駐車場オワコンCPモニターレポート」寝屋川コンクリート・エヌシー産業
⚫︎先週の記事3: 【大阪】「駐車場のオワコン、クレームと言えばクレームになりそうな現象について」
そんなオワコンは一般の方々からも支えられている。
まだまだ駐車場としての実績・実装が薄いこともあり、ある程度の免責に理解していただいた上でのモニターに参加いただいている。
先週1週間にはそんな心温まる現場からのレポートが寄せられた。
明らかになる「土間コンより安い」理由
一般に土間コン(生コンを用いた土間舗装)は、掘削(200mm)・残土処分(200mm × 面積)・路盤(100mm)・メッシュ配筋・コンクリート工(100mm)・養生といった工程を辿る。
オワコンの場合この工程は以下の通りとなる。
1)掘削:200mm → 150mm(削減)
2)残土処分:200mm × 面積 → 150mm × 面積(削減)
3)路盤:省略
4)メッシュ配筋:省略
5)コンクリート工:オワコン150mm(2層打設でセメント安定処理路盤を兼ねる)
6)養生:直後から歩行や軽作業可能(時短)
最低でも2日はかかる土間コン施工がなんとオワコンの場合「たった1日、いや、半日」で終わっちゃう。
これがオワコン駐車場安さの秘密。
⚫︎先週の記事4: 【宮城】《土間コンよりも安い理由》「掘削→削減、残土処分→削減、路盤→省略、メッシュ配筋→省略、養生→時短」タイハク利府工場
⚫︎先週の記事5: 【山口】「防草シートに砕石敷きだってその値段じゃ収まらん。ぬかるみ、雑草、コケ、ネコ、平坦性など考慮して」下関共同生コン・all round
そんな汎用材【無限】の適応可能性
⚫︎先週の記事6: 【山口】「陸も、河川も、海も、全部?! 無限に広がる造粒ポーラスコンクリートの可能性」all round
そんな造粒ポーラスコンクリートは土間コンや防草シートの代用としてフィールドを限定しては勿体無い。
全国各地でそんな創意工夫が展開されている。
こちらはなんと「法面保護」用途に適用されたオワコン。
これで斜面の安定がはかられ土砂の流出、地盤の空洞化が抑制される。
やはりプロダクトは一旦製造者の手を離れた後は施工者やその先にいる人たちの手に委ねられて進化を遂げる好例だ。
全国各地「製造の雄」に支えられ力強く普及
⚫︎先週の記事7: 【愛知】「おなじみ毛受(めんじょう)建材でも取り扱いが始まってます。雑草・ぬかるみ・水たまり・猫の糞害・害虫の対策に」
⚫︎先週の記事8: 【徳島】「副産物 《こめぬか》 と 《残コン》 が出会うことで生まれる新しい循環」松尾建材・安藤ハザマ
⚫︎先週の記事9: 【兵庫】「遊歩道に真砂土やインターロッキングブロックを使う理由はありません」鈴木重機
生コンポータルではこれまで全国47都道府県全ての地域の生コン製造ラストワンマイルとの交流を育んできた。
どの地域にも友達がいます状態である。
20年共に歩んできた生コン製造者らの手により造粒ポーラスコンクリート「オワコン」は逞しく進化を遂げている。
その先にいらっしゃる施工者らに支えられ力強く実装が広がっている。
製造・施工・消費。
これまで、多層・縦割りの産業構造で互いに分断されてきたラストワンマイルがいよいよ直接結びつくようになっている。
創発が生まれている。
その権化として、今後の造粒ポーラスコンクリートの進化・成長から目が離せない。
宮本充也
オワコン工事一式原価例
(生コンビニ仕入れ配送料無料)
◆施工面積40m2
材料費 (配送料無料) | 80,000円 | 40m2 x 0.05m(50mm厚) = 2m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 70,000円 | 2名 x 35,000円(日当) |
諸経費 | 7,500円 | 5% x (80,000円(材料) + 70,000円(工事)) |
合 計 | 157,500円 |
※単価:165,000円/40m2
= 3,938円/m2
◆施工面積60m2
材料費 (配送料無料) | 120,000円 | 60m2 x 0.05m(50mm厚) = 3m3 x 40,000円(単価) |
---|---|---|
工事費 | 95,000円 | 2名 x 35,000円(日当) + 1名 x 25,000円(手許) |
諸経費 | 10,750円 | 5% x (120,000円(材料) + 95,000円(工事)) |
合 計 | 225,750円 |
※単価:225,750円/60m2
= 3,763円/m2
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