長岡生コンクリート
20210801から20210930までに投稿された「オワコン関連記事」

2021/09/23

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「修士の研究テーマもポーラス舗装コンにしたい」次世代型コンポジット舗装

「修士の研究テーマもポーラス舗装コンにしたい」次世代型コンポジット舗装

果たしてAs:Conの95:5をひっくり返すことが正解なのか。脱プラスチック=Asはダメと言う二元論は成り立つのか。間を取ることはできないか。AsとConが調和する世界を志向する新しい形のコンポジット舗装の研究が始まる。



RCCPを基層に、表層を薄層オーバーレイでポーラスAs

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「修士の研究テーマもポーラス舗装コンにしたい」

先日インターンで当社を訪ねていた大学院生からとても嬉しい申し出をいただいた。

⚫︎参考記事: 激動の5日間《インターン》で僕が感じたこと、伝えたかったこと!

「オワコン」と名付けられた舗装用ポーラスコンクリートの原材料は「残コン」だ。

現場から工場に戻ってきた残コンは所定のプロセスにかけられ砂粒状に改質される。

それをそのまま「骨材」と見立てて、篩にかけずにそのまま貯蔵ビンに荷揚げし生コンを製造する。

100%残コン再生コンクリートだ。

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続いて、イタリアミラノに本拠地を置く事業パートナーMAPEIが製造する高分子・急結材(Re-con ZERO EVO)をその生コンに投入する。

(こちらのキーバインダーは「Y弾」と名付けられその他コンポーネントとセットにされ生コン工場に販売される予定)

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3分間の高速攪拌の後生コンクリートは雪だるまのように粗骨材をコア(核)にして造粒される。

つまり、モルタルペーストが粗骨材の周りに積層するので砂の少ない砕石状となる。

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つまり、ポーラスコンクリートの出来上がりだ。

ドライテックもそうだが、施工はRCCPのそれを参考にしている。

今回は人力施工であるため、スコップで配られた材料をレーキ(トンボ)で平坦に均す。

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通常はローラーで締め固めるところだが、タンパやベニアの上からの踏圧で締め固め(転圧)を行う。

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試験施工と試験製造はこれにて完成。

学生さんにとっても初めての製造・施工体験となり、まずは体感をすることで、今後の研究の基礎になれば幸いだ。

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「へ?これ、水通すんですか?」

「こりゃ、通すね」(池上さん)

「マジすか?明日が楽しみです!」

とっても、感心してもらえたようだ。



As vs  Conの二元論(二項対立、分断本能)から、As and Conコンポジット舗装における統合・調和がコンクリート舗装普及の鍵


コンポジット舗装とは、下層に剛性の高いセメント系の版、上層にアスファルト混合物を用いた舗装です。 長期の耐久性が向上する他、より高い走行安全性・快適性の確保や維持修繕がしやすくなるなどのメリットがあります。( コンクリート舗装の適用


人々はどうしても本能的に物事を「俺か、お前か」という二元論に陥ってしまう。

生コンを作っている僕なんかは、「95:5で As舗装に押されている現状をCon舗装でひっくり返してやれ」と、ここでも二項対立に陥ってしまっている。

幸運なことに、日々、多くの人々と接する機会がある。

中には、Asに長年携わっている人もいるだろう。

誰にだって役割があって、その役割を否定されるのは辛いことだと思う。

以前、「コンクリートから人へ」なんてプロパガンダを発していた政党があったが、死ぬほどムカついた。

「アスファルトからコンクリートへ」

例えば、脱プラスチックだの、脱炭素だの、いかに理屈が立っていたとしても、Asに携わる人からしたら、こんなこと言われたら、「は?お前まじ殴るよ」という気持ちは当然の心理だ。

「俺のやり方か、お前のやり方か」(二項対立)

「俺のやり方と、お前のやり方で」(統合・調和)

舗装の分野でも、このパラダイムシフトが必要なんじゃないか。

最近考えをあらためている。

とある大学の先生がおっしゃっていた。

「ポーラスリーンコンクリート(オワコンのこと)を基層に用いてその上に薄層オーバーレイ3cm以下(あるいは表層5cmなどとして)でAs舗装ってのが現実的」

目から鱗。

なるほど。

基層は基本的にずっと使い続けて、その上のAsを定期的に交換する。

下地がConだから、通常の供用環境よりも長持ち(高耐久性)するだろう。

ConとAsが互いを支え合う。

そんなあり方。


RCCP(ローラー転圧コンクリート舗装)は早期解放が特徴となっている。

その上にすぐに車両など重量物を通したとしても、「締め固め効果」が得られることは理解されている。

ただ、表層のすり減り抵抗性がすぐに得られるということはないだろう。

だから、ポーラスAs(薄層オーバーレイ、あるいは表層として)で皮膜・保護することは大変理にかなっている。

Asは温度が下がったら即交通解放OK。

しかも、基層コンクリート(オワコン)は車両の振動で引き続き締め固め効果が得られる。

要求性能は「版厚」だし、生コンのように流動性がないから沈下することは絶えてない。

こりゃ、確かに、面白いコンクリートとアスファルトの夢のコラボだ。

なんか、アスファルトのことが愛おしくなってきた笑。


「修士の研究テーマもポーラス舗装コンにしたい」

若者よ、なかなかセンスがあるじゃあないか。

生コン21年目のこの僕も大変興味深くてワクワクしているところだよ。

しかも、このコンクリート、JISとかJASS5とか土木学会だとかの魔の手(笑)が及ぶところではない。

自由にあれこれ設計できる。

今話題の脱炭素系マテリアル(CCUとか)をふんだんに配合することだって可能だ。

それに、僕と違って、若者(学生さん)には高名な先生がついていることだしね。

夢は無限大だ。

「建築」「土木」と違って「舗装」はしがらみのないブルーオーシャン。

僕の見立てでは新たに2兆円の市場が我が国だけでも拓かれることだろう。

さあ、脱炭素の追い風に背中を押されてガンガン前のめりに走り始めよう。

見通しは水平線何一つ遮るものはない。

新しい時代のコンポジット舗装はきっと世界の飢餓(ヒートアイランド、水害、天変地異)を癒してしまうことだろう。



宮本充也


(以下はおまけ:オワコン製造・施工の動画貼付)

ポーラスリーンコンクリート(RCCP)を基層に表層を薄層オーバーレイポーラスAsとするコンポジット舗装で早期交通解放を実現する舗装が今後の常識を変える(オワコン)