2022/08/01
《コンクリートサロン》「コンクリート業界で本音をぶつける機会はあるだろうか」 #2
日曜日(2022/07/31)の昨日、午後1時から横浜国立大学のセミナールームで1人の学生が大人たちを巻き込んで「コンクリートトーク」というイベントを開催した。巻き込まれたのは鹿島の坂田昇さん、戸田建設の東舞さん、東京テクノの松田信広さん、そしてこの僕宮本充也。
学生の立場でコンクリート業界を変えたい
⚫︎参考記事:《コンクリートサロン》「コンクリート業界で本音をぶつける機会はあるだろうか」
正直、心根から、本気で、「すげえ」と思った。
日曜日、世間はお休み。
ノーギャラ。
ゼネコンの立場で我が国コンクリートをリードする傑物、鹿島の坂田昇を横国大まで呼び出す。
もちろん、交通費なんか払わ(え)ない、学生だもん。
半端ねえと思った。
僕自身振り返ってみると1万か2万であの巨人・長瀧重義をイベントにお招きしたことがある。
あれもあれですごいことだと思ってたけど、今度はノーギャラ、休みの日。
なんでもありだな、学生すげえ。
いや、志賀さんがすげえ。
そんなすげえ志賀さんが学生の立場で立てた課題。
【壁】建築と土木の分断
同じ横国大、同じコンクリートでも建築と土木の交流はほとんどないという。
僕自身にも経験がある。
地元で営業をせっせと頑張っていた頃、地方ゼネコンに訪問営業に行くとたいてい建築と土木は別部屋で区切られていた。
土木部へ行くと「建築の奴らなんて言ってた?」と営業の僕に情報をねだる。
どうなってんだ。
自分で聞けばいいじゃんか。
何に囚われてるんだ。
【階層】行き過ぎた分業による分断
学生視点で考えると発注者やゼネコンの情報は学会や研究を通して入ってくる。
一方、実際に作っている生コン工場の声は一切聞こえてこない。
果たしてこれでいい?
このまま現実を見る努力をせずに就労してしまっていいの?
【底辺】から眺めたい
産業の隅々の現実を知らないままヒエラルキーの高い方に就労する。
真実を知らないからあたかも自分が偉くなったかのように底辺に指図するようになる。
思い上がる。
何もわからぬまま無感動に引退を迎える。
茹で上がる。
ベルトコンベアみたいな人生。
在籍中は盆暮ともなるとたくさん届いた中元・歳暮も肩書きを失った瞬間に途絶える。
そんな人生。
ベルトコンベアにこのまま僕たち学生は搭載されちゃっていいの?
自分の経験を学生全体の経験に。学生が産業に参画して変化を起こす
志賀さん自身は半年で卒業を迎える。
自分が衝撃を受けた経験を自分という生身の人間だけの個人的な体験で終わらせたくない。
営々と続く器・組織としての「コンクリートサロン」にその役割を託したい。
後進の学生たちが自分が得たような衝撃的な体験ができるような機会をコンクリート業界に位置づけたい。
そんな彼の想いに応えて、社会人たちは雁首揃えることになった。
業界の有志が巻き込まれた。
まずは、「作る人」生コンサイドからの話題提供が始まる。
インターネットネイティブの眼前に広がる無限の可能性(宮本充也)
⚫︎参考記事: 【会社案内】庭コン・生コンポータルは最も身近なコンクリートの専門家集団
要約すると、僕が学生の皆さんに伝えたことは以下の通りだ。
建築 or 土木 という二元論から離れ、建築も、土木も、という視点を持つことで、外構もDIYも農業も造園も食品もと広がった体験を通して改めて「水の次に流通する材料」コンクリートの凄さを実感した。インターネットネイティブ(Z世代)である学生は同じくコンクリートを建築も、土木も、という視点で捉え、地球全部を対象市場とするコンクリートの無限大の可能性を知ってほしい。服を売ったり、ソフトウェアを売ったりしてるユニクロだのソフトバンクだの、コンクリートの潜在市場規模からしたらちっぽけなもん。学生諸君。フルコンタクトで突っ込め!
「宮本君、7分オーバー笑」
時間を忘れ夢中になってプレゼンを終えた僕にすかさず坂田昇さんからツッコミ。
大変ごめんなさい汗。
なぜ再生骨材は売れないのか?(松田信広)
松田さんも僕も同じところに問いを立てている。
世界はその価値を必要としている。
SDGsだのESGだのエコエコエコエコしつこいくらいうるさいくらいに世間では喧伝されている。
なのに、再生骨材コンクリートは伸びるどころかシュリンクしている。
なぜ?
この問いほど大切なものはないように思う。
この問いをきっかけに、この後の議論は白熱していく。
どうして、必要とされているものが、きちんと世界に届けられないのか。
誰もが賛成するその価値をどうして世界は受け入れないのか。
なぜ?
学生にも皆目見当がつかないようだった。
学習とはまず「なぜ」から始まる。
そのなぜを解き明かすため(目的)に現状何が課題となっているかを考える。
そして、手段としての知識をIn Putする。
僕の個人的な経験だが、In PutするからOut Putできるわけじゃない。
Out Put(目的)するからIn Put(手段)は勝手についてくる。
だから、「なぜ」を常に持ち続けることが大切。
このブログも長くなってきたのでこの後の模様は続編として区分して紹介したいと思う。
しかし、ドーパミンでまくりでめちゃくちゃエキサイティングな時間でした。
また次回!
宮本充也