2022/07/21
《コンクリートサロン》「コンクリート業界で本音をぶつける機会はあるだろうか」
「頑張ります」という人はいくらでもいる。「やります」という人はそこから限定される。さらに「やりきる」人はほんの一握りだ。インターンで当社に学びにやってきた学生が立ち上げたスタートアップ・コンクリートサロン(代表・志賀純貴)主催の「コンクリートトーク」が開催される。若き未熟な学生だったとしても、「やりきる」人にはこちらも敬意を持ってぶつかりたい。
7月31日(日)13:00〜開催「コンクリートトーク」
彼の描いた成長曲線には正直感動している。
このまま突っ走り続けてほしいと願っている。
コンクリート創発「工場見学とかインターンとかいつだって受け入れている長岡生コンクリート」
主催の志賀さんは横浜国立大学細田暁研究室所属の大学院生。
それほど派手ではない、表に出ないしゃべらない、彼に抱いた僕の第一印象だ。
「生コン工場の御社にインターンで伺いたいです」
突然の申し出では少し意外なくらいだった。
「地球温暖化狂騒曲」と生コンによる革新的なゼロエミッション・地域復活
それがきっかけとなって指導教授である細田暁先生とは今もさまざまに協働させていただいている。
ちょうどご縁に恵まれた時期はオワコン着想の時期と重なっている。
さまざまに交流する過程で彼からの申し出。
「修士論文のテーマを造粒ポーラスコンクリートを選びたい」
「造粒ポーラスコンクリートに関する横浜国立大学の研究が国土交通省の事業として採択されました」オワコン
光栄なことにそれがきっかけで指導教授の細田先生から共同研究のお申し出をいただき見事国家プロジェクトに採択される。
志賀さんを取り巻く環境の変化は目まぐるしい。
細田研究室コンクリートカヌー大会優勝
「おめでとう総合優勝! Salty sluDGes(横浜国立大学)」第26回土木系学生によるコンクリートカヌー大会
コンクリート業界の名物となっているカヌー大会において彼らが優勝したのもこの1年で起きた出来事だ。
造粒ポーラスコンクリートgranZ concrete公共事業で実装
【神奈川】「学生らが主体的に開発した造粒ポーラスコンクリートgranZ con社会実装」相武生コン・横浜国立大学
また、研究の一環として取り組んでいた造粒ポーラスコンクリート(granZ concrete)はなんと瞬く間に実装を果たしてしまった。
それも横浜国立大学が発注するれっきとした公共事業だ。
学生の熱意にほだされ周囲の大人が巻き込まれる形で物事が進んでいく。
スタートアップ「コンクリートサロン」ローンチ
【千葉】「オワコン88,800円キャンペーンは何と横浜国立大学の学生らによるスタートアップ《コンクリートサロン》で納品されてます」
破竹の勢いは止まらない。
学生スタートアップとして志賀さんが起業したコンクリートサロンはこちらも破竹の勢いで成長するオワコンのガチ案件を受注する。
大人たちがお金を払って注文するコンクリート工事を学生が納品している。
コンクリートサロンに寄せる想いとは
元々彼が作ったコンクリートサロンに寄せる想いはもちろん金儲けではなく学生が社会参画する前にある程度業界の現実を知っておきたい、というものだった。
社会人ならご存知の通り、学生は目隠しされたまま真実を知らないままに就職する。
面接で語られる大半は互いに綺麗事。
テレビCMやホームページ、SNS、YouTubeでは企業の真実は語られない。
綺麗事だけをインプットされた状態で学生たちは真実に突き当たる。
本音と建前の建前だけを見せられ急転直下就職後に本音に晒される。
それは企業・学生双方にとって不幸だ。
志賀さんの立てた問いはそこにある。
生コン工場でインターンをしたい
この申し出の源泉にはそんな課題意識があった。
現実を理解したい。
産業ヒエラルキーの底辺に位置する生コン工場から産業全体を見渡したい。
実際インターンを通して彼の中で大きな変化があったようだ。
建設・コンクリート産業の見え方が俄然変化した。
彼はその後積極的に圧送業(小澤総業)や奥村組土木興業でインターンを重ね産業の真実を貪欲に吸収していく。
僕の個人的な経験にとどめたくない
多くの学生は前述のように、建前だけを見せられて就職する。
最初は本音にたじろぎながらも、「そういうもん」という悪い意味での大人・思考停止を受け入れ、いつしか先輩職員の真似をするようになる。
例えば、「残コン」のような公然のパワハラをゼネコンに就職することで行うようになる。
彼のように課題意識を強く持って行動に移せる学生は一握りだ。
インターンをきっかけとして多くの学びの機会に恵まれた彼はその偶然・奇跡を再現性のあるものにしたい。
コンクリートサロンという組織を作って広く学生に継続的に同様の学びができる機会を提供したい。
そのことで彼自身もさらに学ぶことができる。
修士2年の彼に残された学生時代は残りわずか
やがて彼は社会人として巣立っていくことになる。
学生として残された時間はあとわずかだ。
コンクリートサロン、そして継続的に企画されるコンクリートトークなどのイベントやコンテンツを通して彼は社会に巣立った後も、自分が作って後進が受け継ぐであろうその場所で継続的に学ぶことがだろう。
学生からの視点。
社会人からの視点。
作る人からの視点。
使う人からの視点。
取り巻くさまざまな立場の人たちの視点。
産業に参画するすべての人たちの視点から眺めなければ実像を知ることはない。
構想するのは誰だってできる。
頑張りますと言える人は多い。
やります、はそこから随分と絞られ、やり切る、人はほんの一握りとなる。
例え学生相手だとしても「やりきる」人には敬意を持ってぶつかります
そして、今回登壇者として鹿島・坂田昇さんをはじめ尊敬する人々と共に登壇することになった。
よくあるPDのように綺麗事で埋め尽くされるイベントにするつもりはさらさらない。
年下には基本「塩対応」の僕だが、「やりきる」志賀さんに対しては例え彼がまだ若く未熟だったとしても、真剣にぶつかるつもりだ。
本音しか喋らない。
7月31日の登壇者としてお声がけいただき誠にありがとうございます。
結果はどうなるかわからない。
未熟で荒削りな学生が企画することだ。
上手に、綺麗に、うまくいくことは万に一つもないだろう。
ただ、それを「失敗」と思うか「学び」と捉えるかは受け手次第だ。
坂田さんもおっしゃっているように「ピンチ」と「チャンス」は受け手次第であるのと似ている。
本音でぶつかる空間では予測不可能なことが頻発する。
相手が恩人であり尊敬する坂田さんだとしても僕は全く遠慮なく本音だけで語ろう。
若く柔軟な学生はそこで何を感じ何を学ぶだろう。
そして、社会人である僕たちも、きっと多くを学ぶことになるんだと思う。
第1回の狼煙を挙げたコンクリートサロン主催の「コンクリートトーク」。
この場所がこれからも幾久しく彼らや彼らの後進の手によって継続するよう願っている。
そのことで、企業(作る人・使う人)と学生(学ぶ人)の相互理解が進み、産業全体の発展につながることを切望している。
コンクリートトーク開催、誠におめでとうございます。
いよいよ門出ですね。
宮本充也