2022/07/21
【兵庫】「残コンステーションも手段の一でしかなく、やりきれる人はほんの一握り。頑張れ、生コン工場」泰慶生コン
昨日は若干巻き込まれる形で兵庫県神戸市の生コン工場・泰慶生コンを訪ねた。高知県東部の生コン工場が残コン処理について興味を抱き視察を希望したというもの。まあ、ちょっと、厳し目な言い方かもしれないけど、見学者が10いたら、形にできる人は1とか2とか。頑張ろう、生コン工場。
残コンステーション視察
高知県東部の生コン工場関係者らが安藤ハザマの白岩氏の声かけで兵庫の泰慶を訪ねる。
普段ならスルーするところだが、現在はオワコンの製造・施工体制の構築に余念がない。
特に高知県といえば価格の下落がひどい地域で、特殊コンクリートや先進的な取り組みが行えない状態。
だから、市場と顧客が要求する「オワコン」を「そんな暇ない」と製造するのを拒むけしからん生コン屋が多い地域なので、この機に乗じて「教えて差し上げるんだから練らないという選択肢ないよね?」という圧をかけるというたったそれだけの目的で僕も同席した。
残コンステーションと聞くと「造粒材とセットなんでしょ?」「re-con zero evo とか セルドロンとか買わなきゃなんでしょ?」と勘違いされている向きもおられる。
で、なんか知らんけど、上から目線で訪ねる馬鹿もたまにいる。
即出禁だよ。
実際残コンステーションはやり方によっては造粒材を用いなくても残コンを再生材にすることができる。
で、今回泰慶を訪ねた人々は目が輝く現状の業界に課題意識を抱いているフレッシュな若者だった。
まあ、そんな目の輝きも、数年経つと消えるんだけどね。
消えないように頑張ってくれたまえ。
という気持ちで超上から目線で講釈垂れちゃってごめんなさい。
こちとら、同業の生コン工場に卑屈になる程謙虚ではない。
事実を述べて差し上げなければ互いにとって時間の無駄だし不幸を生む。
だから、事実を伝える。
事実を伝えると受け手によってはカチンとくることもあるかもしれないが、そういうのを「図星」というので弁えましょう。
というわけで、数年前に泰慶の石原功治にも上から目線で教えて差し上げた残コンステーションは努力が実って今も同社構内で運用され残コン問題はほぼほぼ解決を見ている。
泰慶の残コンステーション ①残コンブロック
見学者の方々。
いちばん手前に写っているのが声かけ安藤ハザマの白岩氏。
この人めちゃくちゃ忙しく責任も重いはずなのにあちこちに出没してて大丈夫なんだろうか。
まあ、いっか、関係ないし。
で、残コンステーションと言っても決まりきった型というものは存在しない。
十人十色といった具合にそれぞれの工場の運営実態に応じていろんなあり方が出現している。
泰慶生コンの残コンステーションの特徴は残コンブロックとなるだろう。
戻ってきた「ちゃんとした」「シャバシャバじゃない」残コンはまずはBETON BLOCKと呼ばれる型枠に打設される。
フローも見事なものだ。
なお、ザ・八方美人の石原功治の努力で残コンブロックはまがいなりにも、本当にまがいなりにも全国ネットワークが展開され消費者にとってはおそらく最も都合のいい販売体系が敷かれている。
泰慶だけに。
泰慶の残コンステーション ②造粒材を使わない
で、泰慶ならではって感じなのが、造粒材を使わないで再生砕石化させている点。
こちら、厳密には造粒骨材とは呼ばない、呼べない。
で、造粒材を使わないから、経済合理性が大きい。
なんで、そんなことができるのか?
それは、①にも関わることなんだけど、基本的にフレッシュでちゃんとした残コン(ほぼほぼ生コン)は全量ブロックとして再生されている。
そのため、ちゃんとしてないシャバシャバな残コンしか再生砕石化されない。
つまり、どういうことかというと、単位水量の大きい、水セメント比のめちゃくちゃ大きい、つまり、セメント分が少ないほぼほぼ水見たいな生コンしか処理されない。
だから、そもそもがあんま固まらない。
元々作ってあった再生砕石の上にそんなシャバい残コンを放り込んで重機でかき混ぜる。
そんなだから、固まらない。
翌日それは再生砕石になっているってわけ。
そんな感じで勝手ながら泰慶生コンの残コンステーションを論じさせてもらった。
推進している石原功治は社長の弟さん。
もちろん僕よりも年下でキャリアも浅いため、残コンステーションを教えて差し上げた当時は「うまいこと行かないだろうな」と正直思っていた。
ただ、意外なことに、きちんと形にしている。
粘り腰というか、執念深いというか、それに現場をそれほど知らないから現業ついていくのかな、って思ってたが、意外や意外、お兄さんの社長と一緒になって自ら埃をかぶって率先垂範で残コンブロックやら残コンステーションを頑張ってた。
やるじゃん、と思ってたら、残コンステーションもきちんと運用に載せている。
まがいなりにも、僕から言わせれば情報発信も「まだまだ」の残コンブロックのネットワークも、執念深く続けており、結果的には国内では唯一の統一規格の残コンブロック供給アライアンスを敷いている。
やるじゃん、と思っている。
厳し目の先輩(武南さんとか僕とか)にもへこたれず食らいついていく。
そのくらいのガッツがある人間じゃないと残コンをはじめとする生コン産業を取り巻く各種課題の解決は難しい。
昨日いらしていた数名の生コン工場の方々もお若かった。
「頑張ります」
なんて、誰でも言える。
でも、やり切る、ということは本当に一握りに限定される。
結構きつめに現実をお伝えさせてもらったが、甘やかしてチヤホヤするよりは塩対応の方がその人のためだと思って、いつも僕は年下には厳し目に接している。
勘違いしたまま大人になると後が大変だからね。
覚悟ってやつは石原功治がそうだったように時間の彫琢が必要。
本物の覚悟はやっぱりやり切る。
と、まあ、随分上から目線だが、僕だって当事者、まだまだガンガン努力をしていくつもりだ。
成果の生まれる領域に全身全霊を投入したい。
コンクリート産業が多くの人に羨まれるフィールドにするのは僕たち自身にかかっている。
宮本充也