2022/09/14
《高流動コンクリート用後添フィラー》「残コンからV粗骨材を抜いた後に残る【砂】無限の用途開発」
造粒直後の残コンをトロンメルや振動ぶるいに透すことで得られるのは、V粗骨材(JIS生コンに標準化可能)と残砂となる。その残砂の用途開発合戦が始まっている。当社らでは残砂を「ライブパック」と名づけ、各種特殊コンクリートの後添混和材としての活用を見込んでいる。後添型高流動コンクリート用フィラーとしての利用を検討。
高流動コンクリートのフィラー検討
炭酸カルシウムのコンクリート利用は30年前の技術
⚫︎引用:セメント新聞(寄稿者・坂田昇さん)
炭酸カルシウムの高流動コンクリート適応
「生コンキャンプ.LLPが生コン工場にとって最も頼れるプラットフォームになる」
コンクリートに携わる中で尊敬する人物の1人に鹿島の坂田昇さんがいらっしゃる。
同氏はゼネコンにおいて我が国コンクリートのリーダーとして目されている。
350億円規模の巨大国家プロジェクトGI基金「CO2を高度利用したコンクリート開発と製造」のコンソーシアムのプロジェクトリーダー。
冒頭の記事にもあるように、同氏は大成建設さんが「炭酸カルシウムを使ったコンクリートが脱炭素コンクリートだ!」とPRをする30年も前に高流動コンクリートの混和材として炭酸カルシウムの利用を提唱していた。
なるほど、通常の生コンクリート配合を高流動コンクリート混和剤で柔らかくしてしまうとどうしても材料分離が起きてしまう。
そこで、増粒材として石粉(炭酸カルシウム)を用いることで、材料分離抵抗性を確保する。
坂田昇さんはエコタンカルと言って上澄水(飽和水酸化カルシウム溶液)と工場の排気ガス(高CO2濃度)を反応させ生成した炭酸カルシウムを利用した高流動コンクリートを推進していることはあまりにも有名だ。
日本経済新聞などの報じる新聞報道はいまいちピンぼけしているが。
透水性コンクリート「ドットコン」での適応検討
現在当社らではドットコンに用いるコンクリートに高流動コンクリートを適用する可能性を模索している。
「ドットコンの価格【激安】が公表されました! 8月22日に開催された100m2ど迫力のドットコン施工見学会」PUMP MAN
生コンビニPro 資材価格一覧
単価 | 送料 | 置き配 | 最低 注文数量 | (参考) 市況価格 | |
---|---|---|---|---|---|
砂利・砂・砕石 ※1 |
10,000円〜/m3 | 込 | 可 | 0.5m3 | 56円 /kg |
乾燥生コン・乾燥モルタル ※1 |
20,000円〜/m3 | 込 | 可 | 0.5m3 | 33円 /kg |
固まる砂・防草砂 (乾燥モルタル)※1 |
20,000円〜/m3 | 込 | 可 | 0.5m3 | 33円 /kg |
生コンクリート ※1 |
15,000円〜/m3 | 込 | 不可 | 0.5m3 | 33円 /kg |
バルチップ | 5000円 /1m3 |
別 | 可 ※1 |
1袋 | - |
オワコン | 30,000円〜/m3 | 込 | 可 | 0.5m3 | - |
オコシコン(透水コン) | 35,000円〜/m3 | 込 | 不可 | 0.5m3 | - |
ドライテック(透水コン) | 40,000円〜/m3 | 込 | 不可 | 0.5m3 | - |
ドットコン (1枚あたり0.81m2) |
2,800円 /枚 |
込 | 可 ※1 |
1枚 | - |
ヌルコンDIYキット 駐車場1台分 |
17,000円 /kg |
別 | 可 ※1 |
1セット | - |
ヌルコンDIYキット 駐車場3台分〜 |
52,000円 /kg |
別 | 可 ※1 |
1セット | - |
生コンビニProから購入するメリット
・取引先の生コン工場がなくとも生コンビニProから直接貴社支払条件で購入可。
・または、貴社取引先工場またはリスト登録工場(下図)から直接仕入れも可。
生コンビニProの注意点
※1 配送業者へ別途ご指示ください。
※ お支払いは口座取引(MF KESSAI)にて貴社支払条件で
※ 必要数量をお知らせください。お見積りします。
※ 工場との直接取引をご希望の方は無料でご紹介いたします。
オワコンや、オコシコン(改良されたドライテック)などこれまでの透水性コンクリート最大の弱点は「ポンプ圧送ができない」に尽きる。
既往の産業インフラとしての圧送車を利用できないことは生コンクリート製品としての成長性に課題を残す。
一方、PUMP MANらで開発された「ドットコン」はいわば、通常の生コンクリートを用いて施工される水を透す土間コンクリートだ。
現在、こちらのドットコンに用いられる生コンに高流動コンクリートの適応が検討されている。
フローワブルで自己充填性のある高流動コンクリートを適応することで作業負荷が激減し省人化を促進する意図である。
また、水を透すことからも、従来の土間コンには必須だった「水勾配」が不要であることも相性がいい。
高流動コンクリートは「レベラー」のように水平に仕上がっても問題ないからだ。
水溶性袋に入った「ライブパック」を高流動コンクリートに後添
写真の後添混和材は「オコシ材」と言って、ドライテックを改良した「オコシコン」の結合材だ(製造・陽光物産)。
水溶性袋に封入されており、直接ドラムの中に投入することでオコシコンを製造する。
理屈はこれと一緒で、例えば既往の高流動コンクリート混和剤のHF70(チューポール)やマスターグレニウム6510(ポゾリス)を規定量の2倍使用するなどして、あえて21−8−18(N)などの生コンクリートを材料分離状態とする。
その後に、水溶性袋に封入されているライブパック(残砂)を投入することでフィラーと同様の効果を期待し、材料分離のないフローワブルな生コンクリートでドットコンの施工を簡素化しようという試みである。
これであれば、既往の産業インフラとしての圧送車が活用でき、尚且つ、自己充填とブリーディングレスの高流動コンクリートの性能から劇的な省人化が生まれるのではないか。
作った生コンは単純にJIS生コン 後添は生コン工場の責任限界の外
猫も杓子も念仏のように唱えるのが「JISは?」。
一方、現場で加水を避けながらスランプを柔らかくする定番として後添のレオパックや高性能AE減水剤などが用いられている。
施工を管理する人にとっては生コン屋からちゃんとJIS伝票受け取ってっからOK。
あとは現場の都合であれこれ加工しますってやつ。
つまり、水溶性袋に入ったライブパックを投入することは生コン工場の責任限界の外にある。
生コン工場は普通にJIS生コンをいつも通り持っていけばいい。
さらに、そもそも構造部材ではない土間コンクリートはJISだJASS5が及ぶ領域でもない。
現場の人々も、後添で高流動化させ、さらにライブパックを投入すれば、高流動コンクリートでドットコンを施工できるってことになる。
ちなみに、ドットコンの型枠代金は2800円/枚/0.81m2(配送料込み) とコストONとはなるものの、作業人員を激減させることで結果的に土間コンよりも安くなることを予定している。
「残コンからV粗骨材を抜いた後に残る【砂】無限の用途開発」
これ以外にも当社らではさまざまな用途開発を検討している。
付加価値は高ければ高い方がいい。
世界では砂を巡って人殺しが起きているくらいだ。
砂マフィアという言葉もある。
そんな時代に、残コンから得られた「砂」が放って置かれる理由はない。
かてて加えて、SDGs・脱炭素の文脈からすれば、エコタンカル同様に飽和した水酸化カルシウムが気中のCO2を固定化することでカーボンネガティブ混和材としての性能も謳うことができよう。
そのまま付加価値を意味する。
現在、生コンキャンプ.LLP を有志らと共に組織し生コン工場から残コンを仕入れて製造するV骨材や残砂(※当社ら命名「ライブパック」)の用途開発合戦が始まっている。
宮本充也