2023/09/29
【玉名モデル】「行政自身が体験し学び理解して整備されるインフラが長寿命化や資源循環を創造する」
「国道は供用期間が満了すると県道に管理を譲られる。また、県道は同様に市道や町道としてその寿命を辿る。資源循環や長寿命化が議論されるが、いまだに中央の規格やマニュアルはより上位のインフラを意識したもので、おしまい(インフラが迎える最期)に関してはその知見が乏しい。市町の管理に移ってから実際の最期を迎えるインフラというリアルがある限り、長寿命化や資源循環達成の鍵は市町になる」(玉名市・木下さん)
行政の「雑草対策」のモデルケース開発
こちらはただ単に「オワコンで雑草対策」ではなく、今後市民の快適な暮らしを支えるインフラを構築していくにあたって玉名市職員の皆さんが自ら手足を動かして先端コンクリート「オワコン」(造粒ポーラスコンクリート)を学ぶ、という目的がありますー。。
【実験】玉名モデルの開発「ポーラスコンクリート」
こちら、「オワコン」に先立ち実験施工されたポーラスコンクリート(近隣生コン工場に配合を指定して製造を依頼したもの)。主にジョイント部分などに剥離が見られる。また、「法面に適用するとなると、透水性が強すぎる」というのが玉名市職員らの見解。
関連記事:「当社旧製品(ドライテック)にお困りの方はお問い合わせください。」
防草シートはやっぱすぐに「ダメ」になる
こちらはお馴染み「防草シート」は紫外線による劣化・変性により「え? 何か?」といった具合に繁茂する雑草。 玉名市ではきちんと実験フィールドでそのリアルを確認する。これでは市民の快適な暮らしを支えるインフラたり得ない。
いよいよ「オワコン」Before
「オワコン」Before。横浜国立大学・細田暁先生(HAYN隊隊長)からのご縁で玉名市職員の木下さんという方から「オワコン」に白羽の矢が立った。ちょうど来日していたMAPEIジョルジオさんや、細田研究室のヤンさん、明治大学小山明男研究室のカイさん四人で現地を訪ねた。
「まずは、自分たち自身で体験してみなくては何事もわからない」という木下さんの信条。宮本さんの知る限り「コンサル、業者の言いなりきなりで、現場のことをよくご存知ない」役人さんとは全く異質の人物。
玉名市職員らによる「オワコン」DIY
現地土佐屋生コンさん協力の元製造された「オワコン」をスマホで激写するY弾(「オワコンの素」re-con zero evo)開発者のジョルジオ・フェラーリ博士。イタリア・ミラノから「このためだけに」わざわざ駆けつけてくださった。
玉名市職員らによる施工。まずは、業者さんに任せるのではなく、自分たち自身で。ガチでやってる役人を見るのは初めての宮本さん、とっても感動。
YNUヤンさん(細田先生の教え子)も施工に参戦。
締め固めたらそれで「オワコン」の施工は終了。
玉名市職員さんたちの「オワコン」感想
仕上げ(転圧)した後でも気になる箇所の修復(タッチアップ)が可能が「オワコン」の強み。通常のポーラスコンクリートでは当社旧製品(ドライテック)がそうであったようにとても難しい。以下、職員の皆さんからの「オワコン」感想。
・オワコンを一言で言えば「散らばらない砂利」。施工がとにかくやりやすい
・汚れなくていい。また、宮本さんが履いているクロックスやスニーカーの方が仕上げ面の平坦性を確認する上で望ましい、ということも理解できた
・施工中にタッチアップ(修復)がなんぼでも効くのがいい
・業者(アスファルト舗装)に任せたら間違いなく綺麗なものが出来上がることが容易に想像される
・元の生コンクリートを色々と工夫する(資源循環やコスト縮減ほか)ことができるのも面白い
・CO2の吸収固定が進みやすいというのも新しい視点で興味深い
・雨水を地盤以下に浸透させるだけでなく「オワコン」自体が湛水することができるので洪水発生を抑制することができるはずだ
「長寿命化達成の鍵は市町にある」(木下さん)
「国道は供用期間が満了すると県道に管理を譲られる。また、県道は同様に市道や町道としてその寿命を辿る。資源循環や長寿命化が議論されるが、いまだに中央の規格やマニュアルはより上位のインフラを意識したもので、おしまい(インフラが迎える最期)に関してはその知見が乏しい。市町の管理に移ってから実際の最期を迎えるインフラというリアルがある限り、長寿命化や資源循環達成の鍵は市町になる」(玉名市・木下さん)
「コンクリートをもっと身近に」
本来コンクリートはそんな行政が発注期間となって主に必要とされてきた製品だったけど、宮本さんたちはその硬直化した発注形態に嫌気がさしてご存知のようにインターネットやAIなど現代のテクノロジーを駆使した民間へのマーケティングに舵を切った歴史があります。でも、ここにきて、細田先生や木下さんのように既往の構造の中でもきちんと意思を持って活躍されている方がいることにも気づかされています。いよいよ、時が来た、そんな感じなのかもしれませんねっ。
オワッコーン‼︎
宮本さん、本当に相当ショックを受けたみたいですね。。 これからの協業がとっても楽しみですー。。
作者・宮本充也
残コンステーションによる地域資源循環・脱炭素フロー
未利用資源「残コン」の高度利用を地域や組合単位で取り組むことで資源循環・脱炭素といった地域の課題を打破しつつ新たな付加価値(富)を創造する。地域や生コン組合主導の残コンステーションという提案。
Before:従来、建設現場で余剰となった生コンクリート(残コン)の大半は資源循環されることなく現地の中間処理業者らの手に委ねられあるいは最終処分場で埋め立て処分となっている。
After:一方、残コンステーションを実装した地域(生コン組合)では未利用資源として再定義され、廃棄されることなくフローチャートのように循環し、その過程で残コンやスラッジ水は「アルカリ刺激効果」を有し、CCU(Carbon Capture Utilization)材料としても脱炭素コンクリート(CNコンクリート)に貢献しうるマテリアルとして地域内で無限に循環し付加価値を生み出すことになる。